国際放送機器展「NAB Show 2009」で展示された IBMのメディア企業向けソリューション
アンケートにお答えいただいたお客様に、もれなく、IBM Corporationがメディア企業における広告ビジネスの進むべき指針をまとめたレポート「広告の枠を超えて -Beyond Advertising-」を送付いたします。
80年の歴史を持つ世界最大の放送業界向けイベント「NAB Show(国際放送機器展)」が、今年も米国ラスベガスのコンベンションセンターで開催されました。日程は4月20~23日の4日間。IBMも「創造的な世界のためのより賢く、よりスマートなソリューション」をテーマに、Media Hubを中心としたさまざまなソリューション展示しました。ここでは、そこで行われた展示をご紹介しながら、IBMの放送分野への取り組みについてご説明していきます。
テープからファイルへ、ITベースに移行する放送業界
放送業界はアナログからデジタルに、さらにテープベースからファイルベースへと移行しようとしています。IBMは、放送局におけるワークフローのスムーズな移行、業務の効率化、新たなビジネス展開の実現に向けて、Media Hubを中心としたソリューションを提案していきます。SOAベースのソリューションであるMedia Hubをインフラとして据えることで、他社のアプリケーションやさまざまな機器を、一貫したワークフローの中で連携させることができるようになります。
NABでは数年前よりMedia Hubを中心としたソリューション展示を行っていますが、今年はより具体的な展示となっており、ソリューションのイメージや効果を体感いただける内容となっていました。また、番組コンテンツのマルチメディア展開や、放送とストリーミングの融合、インタラクティブな放送サービス、さらにはそれらが実現されたときにあるべき放送の姿に対する提案も行われました。Media Hubの持つ効率的で柔軟、拡張性の高いオープンなテクノロジーを利用すれば、視聴者にマルチチャネル世界での革新的な体験を提供することが可能となります。
今後は、視聴者の嗜好やライフスタイルの多様化が進み、放送局もますますインターネット配信などのほかの配信フォーマットを取り込んでいくようになるでしょう。そのときに重要になるのは、ビジネスをどう構築していくのかということです。ITを導入することでコストの削減や制作期間の短縮を進めていくほかにも、ビジネスモデルを構築したり最適化したりする必要が出てきます。IBMはそのためのソリューションもラインナップしており、NABでも展示を行いました。
Media Hubを中心としたコンテンツ制作のためのソリューション
現在、Media Hubを導入することでいちばん効果が期待できるのが、コンテンツ制作の場面です。コンテンツの品質や制作の生産性を向上させるだけでなく、他社とのコラボレーションをも促進します。IBMは、メディア企業に対してMedia HubやMXFサーバーといったインフラをご提供し、ワークフローの効率化やインテリジェント化を支援します。個々のアプリケーションやカメラなどの機器は使い慣れたものをそのまま使っていただくことが可能で、IBMでも積極的にそういったアプリケーション・メーカーと協業を行っています。使い慣れたアプリケーションソフトやカメラなどの放送機器をシームレスに接続でき、ワークフローの中に組み入れることができるようにすることで、これまでの資産やナレッジをムダにすることなく変革に取り組むことができるのです。
IBMのコンテンツ制作ソリューションを支えるコアソリューションは、次の4つです。
- エンタープライズ・メタデータ管理(EMM:Enterprise Metadata Management)
- ビジネス・オーケストレーション(Business Orchestration)
- 番組制作ソリューション(Program Production)
- 放送用HD映像送出システム(High-Definition Broadcast Playout)

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まず、撮影した映像や過去のデータはすべてメタデータで管理され、ひも付けや検索が容易になります。また、それらのデータが現在編集中なのかといったステータスも確認することができるようになります(「エンタープライズ・メタデータ管理」)。ワークフローの中で作業が忘れられていたり、あるいはデータが紛失してしまったり、といった事故を防ぐことができ、資産管理(アセット・マネジメント)をも容易にします。
データはさまざまに加工され番組へと作りこまれていきます。その一連のワークフローを管理するのが「ビジネス・オーケストレーション」です。効率を高めることでコストや時間を低減し、品質の高いコンテンツ制作を支援します。また、放送直前に新しい情報が飛び込んできて対応を迫られたとき、積極的に直前まで視聴者の声といったものに耳を傾けそれを取り込みたいとき、そういった場合も、ビジネス・オーケストレーションを活用すれば、最小限のコストや時間での対応が実現します。
コンテンツをノンリニア編集するには、大容量で高速なストレージが必要ですが、現在では編集ソフトごとに専用のハードディスクを必要とする場合がほとんどです。しかし、IBMのMXF Serverなら、オープンな共有ストレージで作業することが可能となります。MXF Serverは、コンテンツ編集に求められるスピードやパフォーマンスを実現し、複数の人がコンテンツを共有して編集するようなワークフローのステップを簡素化することが可能です。データやアーカイブの管理が容易になり、パフォーマンス向上やコスト削減に役立ちます(「番組制作ソリューション」)。MXF Serverは、IBMのITサーバー、ストレージ、ネットワーキングをインフラとしたAVID、Adobe Premier CS4、Apple Final Cut Studioでの作業が実証されています。
いまメディア企業は、HD放送やインターネット、モバイルなどへの配信に対応するために、さまざまなコーデックに変換する必要に迫られています。また、コストだけでなく配信速度や信頼性の向上もあわせて求められています。この課題解決のためにIBMと東芝が共同で開発したのが、IBM Media Hubに東芝フラッシュメモリービデオサーバー「ON-AIR MAX」を結合した「放送用HD映像送出システム」です。これにより、ディスク・ベースに比べて信頼性と速度を大幅に向上させることが可能になります。
これらの技術がMedia Hubを介して有機的に連携することで、コンテンツ制作のワークフローは革新的なものに生まれ変わります。
視聴者にインタラクティブな視聴体験を提供するソリューション
NABでIBMが行った展示の中でいちばん注目されたのは、エンリッチデータを含む映像でマスターズ・ゴルフ・トーナメントの生中継を行ったデモでした。これは、マスターズの公式サイト「masters.com」で実際に行われたもので、複数の高画質な動画配信に加えリアルタイムで変わるさまざまなデータを提供し画面に表示させるというもの。
IBMのインターネット・コンテンツ配信ソリューションである「Akamaiサービス」を使い、システムインテグレーション、ウェブサイトと映像ウィジェットの開発やデリバリーもIBMが手がけました。視聴者はサムネイルからライブ映像を切り替えることに加え、スコアやコースデータ、プレーヤーの成績などの刻々と変わる豊富な動的データを同時に見ることでき、単にプレーを観戦するだけでは味わえないリッチな体験をすることができました。
クロスプラットフォーム広告分析ソリューション
NABでは、MarketShare Partnersと協業して、ビジネス分析ツールであるCognosを利用した広告分析のソリューション展示も行いました。これは、広告代理店及びメディア企業における広告収入の最適化を実現するソリューションで、主に以下の4つの要素から構成されています。
- クロスプラットフォーム広告収益最適化:
テレビやインターネットなどの複数の広告媒体にどのような割合で広告費を分配するのが効果的なのか、最適化を行うためのソリューション - キャンペーン管理:
広告やキャンペーンの実績や効果をリアルタイムで把握し、目標達成に向けて戦略的な管理を可能とするソリューション - セールスパフォーマンス管理:
営業活動のパフォーマンスや担当者や顧客毎の広告の実績を地域や消費者の属性毎に把握、管理できるソリューション - 広告インベントリー管理:
クロスプラットフォームにおける広告インベントリーの実績や管理を可能とするソリューション
複数のプラットフォームの価値を定量化する戦略的な視点を導入してオペレーションを行うことで、視聴者の体験を向上させるとともに広告効果を最大化します。さらに実績をもとにクロスプラットフォームの広告キャンペーン管理とインベントリー管理を行えば、広告プロセス全体を統合することが可能となります。
執筆者のご紹介

日本アイ・ビー・エム株式会社
通信・メディア・公益事業
メディア事業部
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ビジネス・ソリューション・セールス担当部長
中舘正順
